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ほげほげ あそ

マイナーな阿蘇の山

阿蘇山が本気出すと、どうなる。

Posted on 2022-12-282024-12-25 By asohack

あのネットミーム、本当なの?

阿蘇カルデラ噴火の「600倍」伝説を徹底解説!

インターネットを旅していると、時に「富士山を1とした場合、阿蘇山は600」といった、何やらインパクト抜群な数値比較に出くわします。こんな数字を見せられると、「そんなにヤバかったの?」と思ってしまいますよね。
ここでは、この噂(ネットミーム)的な比較を踏まえ、阿蘇山の破局的噴火(ASO-4)を科学的な視点でしっかり見直してみましょう。
間違いがあれば修正しつつ、噴火の実態をより面白く、そしてたっぷりのボリュームでお届けします。


ネットミームの「噴火パワー比較」ってなに?

あるネット上のコピペによると、こんな「フルパワー比較」が出回っています。

富士山のフルパワー(過去の最大規模噴火)を1とした場合の、各火山のフルパワー比較

富士山 1
北海道駒ヶ岳 3 有珠山 3 樽前山 4 浅間山 4
九重山 5 燧ヶ岳 7
ピナツボ 10
桜島 12
箱根山 14
※横浜まで火砕流に飲み込まれた
摩周湖 19
大雪山 20
十和田湖 56 ※青森県の大半を火砕流が焼き尽くす
霧島山 100
屈斜路湖 150
洞爺湖(有珠山の本体) 170
支笏湖(樽前山の本体) 225 ※火砕流が札幌を飲み込んで日本海に到達
姶良カルデラ(桜島の本体) 450
阿蘇山 600 ※火砕流が九州の4分の3と山口県を焼き尽くす
イエローストーン 2500

このリストは「過去最大規模の噴火を単純比較したもの」とされ、富士山を1としたときの相対的な「パワー」みたいなものを表現しています。でも、これらの数値は公的機関や科学者が公式に定めたわけでもなく、かなり大雑把な目安にすぎません。
そのため、「火砕流が横浜まで」「火砕流が札幌を焼き尽くす」といった表現も含めて、だいぶフィクション混じりと思ってよいでしょう。イメージをわかりやすくするための極端な比喩のようなもので、科学的な裏付けには欠けると考えられます。


阿蘇山ASO-4噴火:実際はどうすごかったのか?

阿蘇山では過去に4回もの大規模なカルデラ噴火(これを破局噴火と呼ぶこともあります)が起こっています。

  • ASO-4(約8.8万年前):推定マグマ噴出量 380~790 km³ DRE
  • ASO-3(約13万年前):推定マグマ噴出量 96 km³ DRE
  • ASO-2(約14.1万年前):推定マグマ噴出量 32 km³ DRE
  • ASO-1(約26万年前):推定マグマ噴出量 32 km³ DRE

ここでよく出てくる「DRE(Dense Rock Equivalent)」とは、「密実な岩石換算体積」。マグマをぎゅっと詰めたらどれくらいの固体岩石になるか、という指標で、噴出物の体積を比較的客観的に評価できます。

ASO-4はこの中でも群を抜いて巨大で、日本の火山噴火史上で確認されている最大規模レベル。九州全域を火砕流が覆ったと推定され、実際に厚い火砕流堆積物が各地に残されています。その記録は、現代の私たちに「この時代、一体何が起きていたんだ?」と想像力を掻き立てるに十分なものです。


雲仙・普賢岳との比較で感じる規模感

「ASO-4がどれほどすごいか」をイメージするために、比較的近年の噴火、雲仙・普賢岳(1991~1996年)を例にあげましょう。

  • 雲仙・普賢岳噴火のマグマ総噴出量:約0.24 km³ DRE
  • ASO-4噴火のマグマ噴出量:380~790 km³ DRE

ざっと比較してみると、ASO-4は雲仙・普賢岳の噴火規模の約1500倍~3000倍以上の量的インパクトがある計算になります。
雲仙・普賢岳の噴火は、平成新山や火砕流被害などを通じて、映像資料がYouTubeでも多数残されています。その凄まじい火砕流や溶岩ドーム形成の様子は誰でも確認することができます。あの映像ですら小さな火山が暴れる様子が鳥肌モノなのに、その数千倍規模の噴火となると…もはや想像を超えています。


ネットミームと科学的実態の違い

冒頭のミーム的数値は、ASO-4噴火を「富士山の600倍」と端的に表していますが、何をもって「600倍」なのかは明確ではありません。噴出物の体積なのか、破壊力なのか、影響範囲なのか、曖昧なのです。科学的記録や論文では、DREや噴出物厚さ、降下範囲など、客観的な指標を使います。単純な「倍数表現」は、確かにインパクトがありますが、科学的厳密性に欠けることは否めません。

しかし、ネットミームはあくまで興味喚起の一種。巨大噴火という壮大な自然現象に少しでも関心を持ってもらうための「入り口」として考えれば、全く無意味ではありません。「あれ、本当かな?」と疑問を持った時に、こうして科学的データや専門家の解説に目を向けるきっかけになるのなら、ある意味、ネットミームにも存在意義があると言えるでしょう。


まとめ:巨大噴火は想像を超える世界

  • ネットミームの「富士山1に対して阿蘇600」は、科学的根拠には乏しく、目安や比喩表現に過ぎない。
  • 実際のASO-4噴火は、DREで見ても数百km³以上のマグマを噴出した、日本最大級の破局噴火であることは間違いない。
  • 映像資料が残る近年の火山噴火と比較することで、その規模の途方もなさを感じることができる。

興味を持ったらぜひ学術的な資料もチェックしてみてください。阿蘇カルデラ噴火は、地球史の一幕として未曽有の「ショー」を見せてくれた主役であり、その足跡を知ることで、私たちは自然界の圧倒的なスケールに圧倒され、謙虚な気持ちになれるかもしれません。

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