地下で熟成、地上で爆誕!
火成岩の分類をもっとディープに楽しもう
火成岩(マグマが冷えて固まった岩石)は、その生い立ちから大きく2タイプにわけられます。
一方は「マグマが地上や地表近くで冷え固まる火山岩」、もう一方は「地下深くでじっくり結晶を育てた深成岩」。
この2大スターは、ステージ(生成深度)も衣装(SiO2含有量)も異なる、いわば”岩石界のファッションショー”を繰り広げています。
さあ、ここでは中学理科で習った知識にスパイスを加え、もう少し細かいSiO2成分による区分を紹介していきましょう。
火山岩:地上での「即興ライブ」
火山岩は、マグマが地表または地表近くで急冷されてできた岩石。
中学理科では「玄武岩(黒っぽい)・安山岩(中間色)・流紋岩(白っぽい)」の三兄弟で習いますが、実はこの三兄弟をもっと細分化した「SiO2による成分チャート」があります。
岩石名 | SiO2含有量 | 特徴 |
---|---|---|
玄武岩(Basalt) | 45~52% | 黒っぽく海洋底を構成する主役 |
玄武岩質安山岩 | 52~57% | 玄武岩と安山岩の中間層 |
安山岩(Andesite) | 57~63% | 富士山でおなじみ灰色系 |
デイサイト(Dacite) | 63~69% | 安山岩と流紋岩のハーフ的存在 |
流紋岩(Rhyolite) | 69%以上 | 最もSiO2豊富で白っぽい |
このようにSiO2を一つの目安として、岩石を段階的に分類しています。
「安山岩」と一口に言っても、もう少し詳しく見るとその間には「玄武岩質安山岩」や「デイサイト」が挟まるわけですね。
こうした呼称は地質学でよく使われる国際的な分類に対応しており、世界中の火山研究者が「これ、バザンディック・アンデサイト(Basaltic Andesite)じゃない?」なんてディスカッションするわけです。
深成岩:地下深くでの「熟成オーケストラ」
一方、深成岩は地下深くでゆっくり冷え固まるので、大きな結晶が育ちます。
火山岩が「即興バンド」なら、深成岩は「オーケストラ」。地下深くでじっくり時間をかけてハーモニーを完成させます。
対応関係はザックリ以下のようになります。
- 斑れい岩 (Gabbro) ←→ 玄武岩 (Basalt)
- 閃緑岩 (Diorite) ←→ 安山岩 (Andesite)
- 花崗岩 (Granite) ←→ 流紋岩 (Rhyolite)
深成岩ではSiO2含有量だけではなく、ゆっくり冷えた結果できる明瞭な鉱物結晶の組み合わせが重要な手掛かりになります。
SiO2で語り尽くせない深成岩の魅力は、地下で極上に熟成した鉱物たちが奏でる味わい深さにあるのです。
ちょっとした訂正と補足
- SiO2含有量の数値はあくまで目安:教科書や論文によって境界値が微妙に異なります。
- 深成岩はSiO2だけでなく結晶度や鉱物組成がカギ:SiO2であらわすと火山岩の仲間と区別しにくいことがあります。
- 表記の揺れ:「斑糲岩」は「斑れい岩」と書くことが一般的です。
まとめ
- 火山岩はSiO2含有量でグラデーション豊かに分けられ、
- 深成岩は対応する火山岩とペアで理解することで地下と地上の二重世界を味わえる。
さあ、これであなたは、地球の内と外で繰り広げられるマグマ・ロックフェスの秘密を手中に収めました。
次に岩石を手に取るときは、「これは玄武岩っぽいけれど、地下バージョンは斑れい岩なんだなぁ」と、岩石界のファッションショーを思い浮かべてみると、ぐっとロマンが増すかもしれません。